第5話、原題は「Coups de théâtre」と、複数形です。NHKでは「遺体なき殺人」。配信サイトでは、「どんでん返し」のタイトルです。
まず事件は、まったく予想外の「遺体がない理由」が軸になり、そこに、「何回ものどんでん返し」が起こります。
そこを、ラファエルたちのチームがどう解き明かすか?ここが第一の見どころです。
第二の見どころは、ついにテツオの秘密も明かされることです。身分を偽っていたテツオ、その正体とは?
この記事では、どんでん返しが起こるたびに展開が変わっていく、謎解きの面白さと、テツオの秘密、正体についても解説していきます。
この記事でわかること
- 遺体なき殺人の遺体は、どこに消えたのか
- 身元不明の遺体の、DNA検査の結果は?
- そして、どのような結末を迎えたのか
- テツオの秘密、そして正体とは?
※この記事では、シーズン6第5話のネタバレをしています。
未視聴の方はご注意ください。
第5話「遺体なき殺人(どんでん返し)」基本情報
第5話「遺体なき殺人」は、2026年5月3日にNHK総合で放送されました。
原題は「Coup(s) de théâtre」。フランス語で「劇的な逆転」「場面の急変」を意味する演劇用語です。
括弧付きの複数形という、ちょっと変わった表記にも、この回の仕掛けが凝縮されています。
舞台は法廷。2020年のコロナ期に失踪した救急医カレンの事件が、5年の時を経てようやく裁判にかけられます。
カレンの遺体は発見されていませんが、射撃の元世界チャンピオンである夫ジョアキムは、複数の状況証拠により殺人罪で起訴されました。
原告側の証人席に座っているのは、カレンの妹です。
アストリッドは警察側の証人として出廷します。
どんでん返し
第一のどんでん返し:新しい証拠で殺人容疑が揺らぐ
裁判当日、アストリッドは警察側の証人として証言台に立つ直前、スマートフォンに追加の分析結果を受け取ります。
その結果とは?
ダーヴル家の戸口に残されていた血痕はコロナ陰性。
一方、家の近くに落ちていた、スカーフについた血液は、コロナ陽性でした。
コロナウイルスの潜伏期間は3~5日。つまり、戸口の血液とスカーフの血液は、同じ日のものではありえない。
表にすると、こうなります。
| 証拠 | コロナ検査結果 | 時期 |
| 戸口の血痕 | 陰性 | 銃撃当日 |
| スカーフの血痕 | 陽性 | 銃撃当日より後 |
すると、
「スカーフは、後日、誰かが意図的に置いたものではないのか?」
と言う疑問が浮かびます。
アストリッドは証言台に立ち、「状況証拠に矛盾が生じた」ことを、正直に証言します。
つまり、これは、ジョアキム・ダーヴルは、犯人ではなく、ハメられた側かもしれない、ということを示しています。
誰もが「ジョアキムは有罪になるだろう」と予想していたこの訴訟。
この予想を覆しかねない証拠が出てしまいました。
アストリッドは、証言が終わると、審問が終わっていないにもかかわらず、そのまま退廷してしまいます。
自分の証言が終わったこと、
慣れない法廷でパニックになったことが、理由でしょう。
そして、これを聞いたラファエルは、「私のカンでは、ジョアキムは有罪よ!」といい、チームはさらに調査を進めます。
そしてここから、第2のどんでん返しへと繋がります。
第二のどんでん返し:妻は生きていた
捜査チームはランジスの仮設安置所の身元不明の遺体のDNAを、カレンのDNAと照合します。するとカレンのDNAと50%一致していました。
本人ではない、でも強い血縁関係がある。そこからチームは「カレンと妹は入れ替わっていた」という推理に辿り着きます。
ランジスの安置所に置かれていたのはカレンではなく、コロナで亡くなった妹の遺体だったのです。
遺体がなかった理由は、カレンが生きていたからでした。
そして、カレンは、警察でジョアキムに撃たれたことを証言。
夫が「遺体なき殺人」で逃げ切れると踏んでいた計算は、皮肉にも「遺体=妻本人」が証言したことで、完全に崩れ去ったのです。
遺体なき殺人の謎解き
2020年のコロナ禍、救急医カレンは、連絡の取れない妹を心配し、訪ねていきます。
しかし、妹は、すでにコロナで亡くなっていました。
妹は、認知症の母と同居していました。カレンは、母の面倒を見るため、しばらく妹の家に泊まるつもりだったようです。
そして、カレンは自宅に荷物を取りに戻りました。
夫ジョアキムは、それを誤解し、「俺を捨てるなんて許さない」と、泥酔してカレンを銃撃。
腹部に銃弾を受けながらも、気を失っただけで死んではいなかったカレンは、森の中で意識を取り戻します。
そこで目にしたのは、車からシャベルを取り出している夫の姿でした。「このまま埋められる」――そう悟ったカレンは、瀕死の状態で逃げ延びます。
ジョアキムの正体は、DV男でした。
のちのカレンの証言で、「しばらく前から夫に暴力を振るわれていた」こと、また、「ココ(元恋人)と同じ目に遭え」「母や妹も殺す」と脅されていたとわかります。
カレンが、腹部の傷を見せながら証言するシーンがありますが、「そこを撃たれて、よく死ななかったね!」という場所に、弾痕があるのです。
カレンが生き延びたことは、まさにに奇跡です。
そして、この奇跡が、殺人の罪を逃れてきたジョアキムを有罪にしました。
妹の家に向かったカレンは、まず、妹の戸籍を借り、顔まで整形して妹になりすましました。
ジョアキムに殺されないためです。
亡くなった妹は、ランジスの遺体安置所に置いてきました。
次に、血のついたスカーフを、家のそばに落とし、夫を殺人罪で有罪に追い込むための「ニセ証拠」を準備。しかしこれが、事態を一層ややこしくしてしまったのです。
ジョアキムに殺されかけ、生き延びたカレン。
妹になりすまし、証拠を捏造したのは、なぜでしょう?
それは、なんとか夫に裁きを受けさせようとしていたからです。
発見されて、暴力的な夫に報復されないよう、身元を偽るという方法を取りました。
捜査チームは、さらに、「ジョアキムに殺されたココ」を、ついに探し当てます。
ココの身元は、「コリンヌ・ジレ」。カナダから渡仏後、行方不明になっていました。
「ココは、郊外に住んでいる恋人がいると言っていた」と、友人が証言します。これはジョアキムと一致します。
では、ココの遺体はどこに?
ココの遺体は、ダーヴル家のお墓に隠されていたのです。ジョアキムの家から発見されたピアスと、同じものをつけた遺体が見つかりました。
ピアスのDNAも、行方不明者として保存されていた「ココのもの」と一致。
これが、決定的な証拠になりました。
ジョアキムは、「妻の殺人未遂」で有罪となり、禁錮20年以上、13年は仮釈放なしです。
さらに、ココの「もう一つの殺人」でも起訴されました。
やっと、正しい裁きが下りました。
テツオの秘密、ついに明かされる
この回では、ずっと引っ張られてきたテツオの秘密が明かされます。
きっかけは第4話に遡ります。アストリッドを尾行していた男からラファエルが奪ったカメラ。その中に残されていたのは、テツオの写真ばかりでした。
不審に思ったラファエルはノラに調査を依頼します。
調査の結果、明らかになったのは、衝撃的な事実でした。
「テツオ・タナカ」は偽名であり、身分証も偽物だったのです。
テツオの本名は「テツオ・ホシダ」。日本の名家の跡取りでした。
テツオは、「恨まないで」と言いますが、アストリッドは、「知らない人なので恨みません」と言い切ります。
データと事実だけを信じるアストリッドにとって、名前さえ本物でなかった相手は、文字通り「知らない人」になってしまう。
そして、アストリッドは、「今すぐ部屋を出ていってください」と、テツオを部屋から追い出します。
ドラマのラスト、テーマ音楽が流れるなか、無表情のアストリッドが、テツオと二人で食べるための食器を片付ける様子が映し出されます。
二人の関係が壊れたことを象徴するシーンであり、「悲しい」というセリフより、もっと悲しく思える演出でした。
テツオがなぜ身元を偽っていたのか、そしてアストリッドとの関係がどうなるのかは、テツオの秘密を扱った下の記事で詳しく考察しています。
●アストリッドとラファエル シーズン6 テツオの秘密と正体がついに明かされる?ネタバレ&完全解説!

ネタバレ考察:アガサ・クリスティのようなどんでん返しとテツオの秘密
最大のどんでん返しはこれだ!
実は、この回の最大のどんでん返しは、最後の裁判のシーンにあります。
それは、ジョアキムが、「殺したつもりが殺された」こと。
夫ジョアキムは、銃でカレンを殺そうとしましたが、失敗しました。
それでも、「遺体がない」、だから状況証拠しかない、という点が有利に働き、逃げ切れると思っていたはずです。
そして5年後、最後のどんでん返しが起こります。
法廷という舞台で、カレンは夫を「有罪」にしました。
つまり、夫を社会的・法律的に「殺した」ということです。
射撃の元世界チャンピオンが、銃弾で仕留め損ねた相手に、5年越しで逆に仕留められる。
これ以上の「どんでん返し」はありません。
ruka’s eye アガサ・クリスティの「検察側の証人」が元ネタ?&感想
この回の構造は、アガサ・クリスティの名作「検察側の証人(The Witness for the Prosecution)」を思わせます。クリスティの作品でも、「誰が誰のために証言するのか」という問いが物語全体をひっくり返す仕掛けになっています。
第5話もまた、「証言台に立つ者が誰であるか」という一点が、すべてのどんでん返しの核心でした。
実は、クリスティの「検察側の証人」でも、ラストで、妻が夫を殺します。
詳細は避けますが、妻は夫に裏切られたと知った時、「夫を刺殺する」というラストシーンでした。
裁判でも、事情聴取でも、ずっと不貞腐れたような態度で、黙秘を決め込んでいたジョアキム。
しかし、
- 殺したはずのカレンは生きていて、すべてを証言したこと
- 行方不明だったココの遺体が、ダーヴル家(自分の実家)の墓から発見されたこと
- 以前の家宅捜索で発見されたピアスの片方が、ココの遺体の耳についていて、ココのDNAと一致したこと
で、全てがひっくり返りました。
5年越しに、カレンの望んだ結果がやっと訪れました。
ジョアキムは、「カレン・ダーヴル殺人未遂」で有罪となり、殺人と同じ刑が科されます。
さらに、「コリンヌ・ジレ殺人」でも起訴されました。
今後数十年、出てくることはないでしょう。
今回は納得のいく事件解決でした。「水戸黄門」のように、スッキリした視聴後感で、安心感もあります。
もちろん、そうではなく、ラファエルたちが悔しがるラストもあります。
この、毎回必ず「スッキリ解決」ではないところ。これが、アストリッドとラファエルに、リアリティを持たせている要素なのですよね。
身元を偽っても逃げきれなかったテツオ
今回は、殺されかけたカレン・ダーヴルと、秘密が暴かれたテツオには、共通点があります。
それは、「身元を偽って潜伏していた」こと。
「とりあえず身を隠す」には良いですが、長期では厳しそうです。
カレンは5年、テツオは7年、隠し通しました。
カレンの妹は、家で翻訳の仕事をしていたので、見つかりにくかったとはいえ、5年はよく保たせました。
整形が完成するまでの間、近所の人に気づかれなかったのでしょうか。
疑問は残ります。
それを思うと、テツオの7年は、かなり長期ですね。相当うまくやらないと、すぐに捕まりそうな事案ではあります。
もしかしたら、アストリッドとテツオが、出会っていなかった可能性もあるわけです。
警察関係者のアストリッドと恋に落ちて、それからは、薄氷を履むような思いで過ごしていたのでしょうか。
カレンの身元詐称は、事件解決という形で、終わりを告げました。
テツオの場合は、「捜索の手が伸びてきた」ことで、身元が発覚しましたが、警察であるラファエルたちに、「身元詐称」が知られているわけです。
今後、テツオとアストリッドが結婚するには、この問題を解決しないといけません。
どうやって解決するのか、または、「もう解決できない!」と、諦めて日本に帰るのか?
今後の展開に、注目したいと思います。
この回の前の、第4話の解説記事はこちら
●アストリッドとラファエル6 第4話【万物の理論 】ネタバレ考察|警視正の退任、テツオの秘密、ダゴベール再登場まで徹底解説!

まとめ
第5話「どんでん返し」は、事件のトリックとしても、人間ドラマとしても、シーズン6の中でも特に見ごたえのある一話でした。
遺体がない理由は、妻が生きていたから。証言台に立った妹は、妻本人だった。
そして、5年前に、妻を銃で仕留め損ねた夫は、法廷で妻に仕留められた。
重なり合うどんでん返しの先に、妻の望んだ正義が待っていました。
そして事件の幕が下りると同時に、アストリッドの前にはテツオの秘密という、また別の「どんでん返し」が待ち受けていました。
テツオの嘘を知ってしまったアストリッド。テツオの正体を知って、二人の仲は、今後どうなるのでしょうか。
第6話以降の展開が、いっそう気になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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